Discography

Camelのアルバムについての簡単な紹介と、発売当時の思い出等を書いているだけです。
正直言ってCamelについては客観的な文章が書けそうにありません。
学生時代のファーストインプレッションと現在の思いが時をこえて交錯したりして、収拾がつかない状況です。
Camel (1973年作)
個人的評価
★★★★★★★★☆☆
(Wardのdr炸裂)

Side1
1. Slow Yourself Down
2. Mystic Queen
3. Six Ate
4. Separation

Side2
1. Never Let Go
2. Curiosity
3. Arubaluba
★ 記念すべき1stアルバム
まだ完全には自分たちのスタイルは確立していないものの、ライブの定番Never Let Go、美しい佳曲Mystic Queenなど印象的な曲が並ぶ。
だが、このアルバムの本当の魅力はSlow Yourself Down、Separation、Arubalubaなどの曲での突き抜けた格好良さだ。かなりハードなロック指向だが、MirageやRajazあたりが好きな人なら違和感はないと思う。
Andrew Latimerのギターは、やや渋めにブルーズ・ロック。一方、Peter Bardensのオルガンは早くも全開。Andy Wardのドラム(※1)が絡み合い、Dougがタイトにリズムを刻む。初期Camelのエッセンスは既にここにある。
個人的には大好きなアルバムなのだけど、アルバム全体としての完成度(※2)とCamel入門者への配慮という点から、敢えて(渋々)評点を下げています。
実際に購入したのは大学生ぐらいのとき。輸入盤(※3) で追体験しました

Andrew Latimer (g), Peter Bardens (key), Doug Ferguson (b), Andy Ward (dr)

※1 Andy Wardのドラム(※1)
とにかく手数が多くて、かっこいい。彼だけは、早くも自己の演奏スタイルを確立しています。
※2 アルバム全体としての完成度
このアルバムには後の作品に見られる「テーマ性」とか「コンセプト」はありません。でも、そこがこのアルバムの一番の魅力かなと思います。プログレの呪縛に捕われていない自由な格好良さが鮮烈で素敵です。vertigo辺りの実験的なロックが好きな人には、堪らない作品かもしれません。
※3 輸入盤
概ね輸入盤は国内盤より安かったが、ひん曲がっていたりして苦労することが多かった。結局、就職して最初にマイクロ社の吸着式ターンテーブルのアナログプレーヤーを買いました。ポンプでレコードをターンテーブルに吸着して完全平面化するという力技を見せてくれる異色のプレーヤー。まだまだ我が家がの現役機です。
Mirage (1974年作)
個人的評価
★★★★★★★★★☆
(ニムロデルが好き)

Side1
1. Freefall
2. Supertwister
3. Nimrodel
 The Procession
The White Rider

Side2
1. Earthrise
2. Lady Fantasy
~Encounter
~Smile for You
~Lady Fantasy
★ 名作Lady Fantasyを含む初期の代表作
Camelで初めて買ったのがこのアルバム。確か帯にプログレ(※1)の名盤みたいなことが書いてあったので目に留まりました。
(実際には別の表現だったかもしれないけど? この時中学2年生)ジャケットを見ただけで閃いた。即購入。そして、翌日、新譜のRain Dancesを追加購入することに。ここから20年以上にわたって僕の人生には、常にCamelの音楽が寄りそうことになりました。
アレンジが垢抜けない部分が残ってはいるものの気にならない。70年代はみんなこうだったんだから?
1曲目はFree fall。いきなりハードロック(※2)で頭をガツンとぶちのめされる。格好良さに酔っていると、フルートが美しいSupertwisterに続く。このあたりの流れが見事。美しさ一辺倒でないところが好き。私のお気に入りの Nimrodelやライブでのアンコールの定番Lady Fantasyといった大作もありお勧めの1枚。掛け値無し初期の名盤だ。
ちょっと凝った効果音(※3)に気負いが感じられなくもないが、嫌みになる1歩手前でなかなかよろしいかと。
ちなみに、米国盤は別ジャケでした

Andrew Latimer (g), Peter Bardens (key), Doug Ferguson (b), Andy Ward (dr)

※1 プログレ
Progressive Rockの略: Rock Musicの1ジャンルらしいが、明確な定義は今だなされていない。とりあえず、御三家Pink FloydのThe Dark Side of the Moon(邦題「狂気」)や、King CrimsonのIn the Court of the Crimson King(邦題「クリムゾンキングの宮殿」)、YesのClose to the Edge(邦題「危機」)あたりを聴くしかないのだが、次に何を聴くかで、その人ごとに定義が変わってしまう(らしい)。どの掲示板でも必ず紛糾する永遠のテーマかも。
※2 ハードロック
プログレに負けず劣らず様式化が進んでいる音楽分野。これらの音楽シーンの中で個性や独自性を維持し続けることのできるバンドはそう多く無いと思う。
※3 効果音
Nimrodelの頭 (Supertwister の最後?)でコップに何か炭酸飲料を注ぐようなSEが入るけど、これってコーラ?サイダー?ビール?誰か教えて! 
ずっと気になっています。(地下鉄の列車はどこから入ったのでしょう?〜古すぎか?)
The Snow Goose (1975年作)
個人的評価
★★★★★★★☆☆☆
(ごめんなさい)

Side1
1. Great Marsh
2. Rhayader
3. Rhayader Goes to Town
4.Sanctuary
5. Fritha
6. The Snow Goose
7. Friendship
8. Migration
9. Rhayader Alone

Side2
1. Flight of the Snow Goose
2. Preparation 
3. Dunkirk 
4. Epitaph
5. Fritha Alone
6. La Princesse Perdue
7. The Great Marsh
★ Brightest hope(※1)栄誉を獲得した名作
オーケストラとの共演作品で全曲インスト、ポール・ギャリコ(※ 2)の同名の小説を見事に音楽化した。
Moody Blues(※3)のDays of Future Passedはロックとオーケストラの「切り貼り」といった感だけど、CamelのThe Snow Gooseはオケとバンドがうまく調和している。もっとも、Days of Future Passedは1967年の作品であり、The Snow Gooseとの直接的比較はフェアではないかもしれない。先駆者としての正しい評価が必要とは思っています。
いずれにせよ、The Snow Gooseは同種の試み(オーケストラとの共演)の中では、最も成功した作品の一つと言えると思います。
しかし、Camel=Snow Gooseとの印象を持つ人も多いけど、私としては、ちと異論があるんです。この辺りはまた改めて...でも代表作(※4)であることには間違い無いです。
前半の人気曲、Rhayader~Rhayader goes to townも良いが、6曲目のタイトル曲The Snow GooseでのLatimerとWardのプレイが出色と思う。
Side2では、戦地に赴く荘厳な決意を見事に描写したDunkirk、そしてFritha Aloneのもの悲しく美しい旋律、どの曲も情景を鮮やかに想起させてくれる。
ここにPeter BardensとAndrew Latimerのコラボレーション体制が確立され、見事な成果を挙げることとなった。

Andrew Latimer (g), Peter Bardens (key), Doug Ferguson (b), Andy Ward (dr)

※1 Brightest hope
Melody Maker紙が1975年9月に発表したBrightest hopeの英国部門、国際部門ともに1位はCamelであった。ちなみに国際部門を見てみると1位Camel、2位P.F.M、3位Supertramp、4位Kraftwerk、5位Eagles、どうだ参ったか!
※2 ポール・ギャリコ
Paul Gallico: アメリカの有名作家(1898-1976)だが、文学に疎い人でも、映画化されたポセイドン・アドベンチャーの作者と言えば早いかも。
※3 Moody Blues
フロイドと並ぶ評価と人気を誇ったプログレバンドの最古参。アルバムEvery Good Boy  Deserves Favoyr(邦題「童夢」)は必聴。ジャケットデザインも秀逸だ。
※4 代表作
告白すると、私、永らくThe Snow Gooseを買ってませんでした。だって、A Live Recordで全曲聴けるんだもの。あ〜俺ってエセCamelファンの誹りを受けてしまうかも!
Moonmadness (1976年作)
個人的評価
★★★★★★★★★★
(文句は言わせんぞ!)

Side1
1. Aristillus
2. Song Within a Song
3. Chord Change
4. Spirit of the Water

Side2
1. Another Night
2. Air Born
3. Lunar Sea
★ Andrew & Peter体制の頂点
ギターとキーボードが共にメインを張り、美しさの中にも独特の緊張感がみなぎる。リリカルでありながらしなやかな強さ・スピード感をも併せ持つ。ジャジーな雰囲気をほのかに感じさせる。 しかし、クロスオーバー(※1)色が強い次作 Rain Dancesと比べると遥かにプログレ色が濃い。初期Camel〜Andrew & Peter体制の頂点と言えるだろう。 
各曲を見てみると、世間の評では大作のLunar Sea(※2)の評価が高いようだが、アルバム前半の小品もどれもすばらしい。一分のすきもないアレンジと演奏。奇跡のような完成度だ。
過去、現在、ギターの素晴らしいグループはいくつもあった。キーボードが素晴らしいグループもいくつもあった。だけど、ギターとキーボードが対等に渡り合い、絶妙のアンサンブルを聴かせくれたのは、Camelのほかにはない。この際断言する。(あっても無視する。抗議は一切受け付けない。ごめんなさい。) 
ついでに言えばどんなに美しい曲でもAndy Wardのドラム(※3)は「あの」調子で手数が多い。これもまた初期Camelの特徴。ジャケット(※4)も印象的だ。
Peterの遺作The Art of Levitation (2002年)の中のSpirit of the Water(※5)は、本作Moonmadnessからの1曲です。イントロ聴いただけで泣いてしまいそうになります

Andrew Latimer (g), Peter Bardens(key), Doug Ferguson (b), Andy Ward (dr)

※1 クロスオーバー
8ビートでも抵抗なく演奏するなど、ジャズの側からロックの要素を取り入れた音楽とぐらいにしか理解できていません。苦手の分野です。
※2 Lunar Sea
似たような名前の国内ロックバンド名がCamelのこの曲に由来するものなのかどうか私は知らない。ずっと気になってます。誰か教えてください
※3 Andy Wardのドラム
一聴しただけで彼だとわかりますよねェ。とっても手数が多いから。Side2-1のAnother Nightでの頑張りに拍手 !
※4 ジャケット
米国盤は、宇宙服を着た駱駝のジャケットです。
※5 Spirit of the Water
The Art of Levitationでは、この曲、Peterの娘さんがボーカルをとっています。そして私のサイトのタイトルです。
Rain Dances (1977年作)
個人的評価
★★★★★★★☆☆☆
(エレピが苦手です)

Side1
1. First Light
2. Metrognome
3. Tell Me
4. Highways of the Sun

Side2
1. Unevensong
2. One of These Days
I’ll Get an Early Night
3. Elke
4. Skylines
5. Rain Dances
★ ポップなボーカルの魅力が加わった好作品
なんとSoft Machineと並ぶカンタベリーロック(※1) の雄Caravanの主要メンバーRichard Sinclairが加入。まだCaravan時代のように、ベースをブイブイさせてはいないが、爽やかでほのぼのとしたボーカルの魅力がキャメルに加わった。
Moonmadnessの流れをくむ流麗なインスト曲もある。1曲目のFirst LightやSide2の4曲目のSkylineのカッコよさには脱帽。First Lightの中間部で聴かせるMel Collinsの演奏に鳥肌。ちなみに、Elke(※2)のキーボードはなんと、あのBrian Eno
ポップな歌ものとスリリングなインスト曲がうまくバランスした好作品だ。
エレピが気持ち悪い曲(※3)があるなど、全体にジャズっぽい化粧はしているけど、基本はロック、楽しめます。
個人的には好きなアルバムだけど、純ロック派の人は、時流に迎合したアレンジと受け取るかもしれない。評価は別れるのではないか。もちろん、クロスオーバーに抵抗のない人たちには、何の問題もないと思うけど

Andrew Latimer (g), Peter Bardens (key), Richard Sinclair(b), Andy Ward (dr)
guest: Mel Collins (sax), Brian Eno (key)

※1 カンタベリーロック 
メンバーが皆バカテクであること以外に共通点を見い出すのが困難な音楽ジャンル(一派?)の一つ。ところで、本文のほう、今書くからこういう文章になるのだけど、当時中学生だった私は CaravanもSoft Machineも全く知りませんでした。何か凄いバンドのメンバーが加わった、という漠然とした認識でした。
そして、ほどなくレコード店でIn The Land of Gray and Pinkを見つけてしまい、即購入。これぞプログレ無限地獄か? 
※2 Elke
後に発表されたNudeの中のLandscapesの下敷きになったのではないだろうかと想像しています。
※3 気持ち悪い曲
One of These Days I'll Get an Early Nightのエレクトリックピアノの音色、フレーズ全てが「いかにも」な感じのクロスオーバー風で、逆に何だかダサク感じてしまうのは私だけ ?
 A Live Record (1978年作)
個人的評価
★★★★★★★★★★
(評価はLPの方だよ)

Side1 
1. Never Let Go
2. Song Within a Song 
3. Lunar Sea

Side2
1. Skylines
2. Ligging at Louis
3. Lady Fantasy

Side3-Side4
The Snow Goose
★ Camel衝撃のライブ
2枚組LPでした。アルバイトに精を出してはいましたが、まだ中学生の私には、購入の決意がなかなかできませんでした。結果は...逆になんで早く買わなかったのかと悔やむことしきり。
1曲目のNever Let Goだけで逝ってしまうこと請け合い。メンバー全員がハードなソロで応酬。彼等の本質がロックバンド(※1)であることを再認識させられます。
プログレに限らずとも、ロックのライブ盤の上位10傑(※2)には確実に入る名盤かなと。
ところが、2002年の紙ジャケCD化(※3)にあたっては、何と曲順が変更されるという「暴挙」が行われていました。
A Live Recordの1曲目はNever Let Goでなくてはならない。
僕が中学生の時、針を降ろした瞬間に味わったあの衝撃を若い子たちは知らない(知りたくもない?)。「なっ何なんだ。この曲は! 」とぶったまげました。強く抗議したい気持ちです。
何度も言うけどCamelはロックバンドである。甘く見てもらっては困る。
ボーナストラックというやつは値段があがっても別CDにすべきと思うのだけど。ましてや曲順をいじるなんて理解に苦しみます。
なお、LP2枚目はロンドンThe Royal Albert Hall (1975年10月17日)でのロンドンシンフォニーオーケストラとの共演によるThe Snow Goose全曲ライブです。

Andrew Latimer (g), Peter Bardens (key), Richard Sinclair (b), Andy Ward (dr), Mel Collins (sax)
ただし、Side2.2, Side2.3, Side3, Side4は、Doug Ferguson在籍,オリジナル・メンバー期の音源である。(※4)

※1 ロックバンド
友人にこのアルバムを貸したのだけど、彼は「フュージョン」と評した。テクニカルで上手いというニュアンスも込めて彼はそう言ったのだけど、私はフュージョンという「言葉」がどうも苦手です。本来ロックが持っている(はずの)様々な猥雑なものが捨象されてしまうようで嫌なのです...
※2 ロックのライブ盤の上位10傑
プログレだけでなくてロックの10傑と広げたのはちと言い過ぎだったか?根拠はない。見逃してくれ。Deep PurpleのLive In Japanとか、Bob DylanのHard Rainとか、ZeppelinのSong Remains the Sameとか、CSN&Yの4Way Streetとか、この調子であげていけば自分の好きなLive盤だけですぐ20ぐらいにはなりそう。まあ、個人的衝撃ではそうだったということで御理解を。
※3 紙ジャケCD化
国内盤では、LPのレーベルを完全再現しているほどの凝りよう。意匠については良い仕事をしていただいてます。でもどうせやるなら、Yesの時のように帯までやって欲しかった。←2009年のCDでは帯も再現されました。
※4 オリジナル・メンバー期の音源
オリジナル・メンバーの時代の方に思い入れがある私ですが、当時の僕は、Never Let Goの新しいアレンジの方に可能性を感じていたということになるのかなぁ?
Breathless (1978年作)
個人的評価
★★★★★★★☆☆☆
(ちょっと厳しすぎか?)

Side1 
1. Breathless
2. Echoes
3. A Wing and a Prayer
4. Down on the Farm
5. Starlight Ride

Side2
1. Summer Lightning
2. You Make Me Smile
3. The Sleeper
4. Rainbow’s End
★ Andrewのギターが駆け巡る名曲満載の人気作
思い起こせば、1年のうちにたて続けにCamelの新譜が発表されるという大変幸せな年でしたが、なんとPeter Bardensが本作をもって脱退(※1)。ショックでした。
このアルバムをベストとする方って結構いますよね(※2)。個人的にはこれ以前の作と比較してやや評価を低くしています。あか抜けてはきたけど何となくWetな感覚がなくなっちゃった気がして...ドライクリーニングされたCamelって感じがしてました 。
2曲目のEchorsが好きと言う声が多いけど、個人的にはそれほど良い曲とは思わなかったです(※3)。むしろ、Side2のSummer Lightningのギターソロ(※4)が素晴らしいと思うのだけど...誰か賛同者はいないかしらん?私は少数派?
いろいろ文句は書きましたけど、これも良いアルバムです。
全てを達観したような駱駝の表情が良いですね。

Andrew Latimer (g), Peter Bardens (key), Richard Sinclair, (b)Andy Ward (dr), Mel Collins (sax)

※1 Peter Bardens脱退
でも、その後も時折、ゲスト参加はしてくれている。また、Pete Bardens' Mirageなるバンドを結成してLive盤を出していたりもする。Andrewだけでなく彼にとってもCamelは特別なバンドだったのだろう。
※2 結構いますよね
私の友人は殆どBreathless派ですね。人気投票すれば、もしかして歴代のアルバムでこれがトップを争うのでは無いかしら? ★7つと書いただけで抗議のメールがバンバン飛んできそう!
※3 それほど良い曲とは思わなかった
訂正します。良い曲です。だけど、ライナーノートの中でHT氏が「あのミラージュ時代に戻ったのでは」と書いていたのに対して、それは違うとちょっと反発しただけです。もちろんアルバム全体ではThe Sleeper以外はクロスオーバー色が後退していますし、とりわけこの曲は昔のイメージに近いと言えば近いともいえるのだけど...
※4  Summer Lightningのギターソロ
それこそ弦のうなる様が目に見えるよう。数多あるAndrewのギター・ソロの中で、音色的には、この曲が一番好きです。
I Can See Your House from Here (1979年作)
個人的評価 
★★★★★★★☆☆☆ 
(おさえておさえて)

Side1
1. Wait
2. Your Love Is Stranger Than Mine
3. Eye of the Storm
4. Who We Are

Side2
1. Survival
2. Hymn to Her
3. Neon Magic
4. Remote Romance
5. Ice
★ キャメル流ポップスとプログレの融合
Waitカッコ良いですね。 Hymn to Her哀愁たっぷりで素敵ですね。だけど当時高校生の僕にはその他の曲の良さが分からなかった(※1)今では、Your Love Is Stranger Than MineやWho We Are、Neon Magic(※2)も好きです。Remote Romace(※3)はちょっと苦手だけどね。
あと何か忘れてないかって?
実はあの曲、あの曲はあまり好きでなかったのです。そう、Iceです。全国 1000万人のIceファンの皆さんほんとにご免なさい。若いころはギターは疾走感が第一と考えていたものでして。Iceはその点評価が低くならざるを得なかったのです。それに、演奏が思い入れたっぷり過ぎるようで馴染めなかったし、唐突にフェイドアウトして途中で曲調が変わってしまうところにも違和感を感じたのです。
そう言えば高校生の時、クリムゾン信者の友人にむりやりこのLPを買わせたけど、彼はIceを気に入ったようだったな。そのあとすぐ801のライブ盤とともにカセットにダビングしてくれた(※4)もの。
僕はと言えば、遅ればせながら、40を目前にした頃になってようやくこの曲の凄さが解りかけてきました。(遅すぎ。ホントにファンか、お前 !)
現在もCamelを支えてくれているColin Bassの参加に、Kit Watkins, Jan Schelhaasといった曲者2人の強力ダブルキーボードと、なかなかのラインナップです。

Andrew Latimer (g), Jan Schelhaas (p), Kit Watkins (key), Colin Bass (b), Andy Ward (dr)
guest: Mel Collins (sax), Phil Collins (per), Rupert Hine (backing vocal)

※1  良さが分からなかった
ちょっと注意して聴けば、どの曲も唯のポップスで無いことが わかるはずなのだけど...当時の僕にはプログレバンドとしてのこだわりや細かい仕掛けが良く解らなかった。
※2 Neon Magic
ちょっとばかり懐かしい曲が最後に聴こえます。この辺のSEの使い方って、ちょっとBeatlesぽいかなと思いました。ほら、All You Need Is Loveの終わりで、RingoがShe Loves You Yeah, yeah, yeahって歌ってるじゃないですか。
※3 Remote Romance 
何かテクノポップ風で調子狂っちゃいます。そう言えば、当時、KraftwerkのMan Machineを買った時も、似たような違和感を感じました。
※4 ダビングしてくれた
彼には、801だけでなくI Can See Your House from  Hereもテープにとらせてもらった。逆に災いして再結成前CamelではこれだけLPを持っていない。残念。←いつぞや大阪に出張した際に難波のレコード屋で買いました。
ついでに言えば、私、ながらく、アルバムタイトルをI Can't See Your House from Hereと思い込んでいました。やはり、私ってエセ・キャメルファンなのかしら?
師匠に話したら、お前は悲観的だからな、と笑われてしまいました。
Nude (1981年作)
個人的評価
★★★★★★★★☆☆
(結構深いです)

Side1
1. City Life
2. Nude
3. Drafted
4. Docks
5. Beached
6. Landscapes

Side2
1. Changing Places
2. Pomp & Circumstance
3. Please Come Home
4. Reflections
5. Captured
6. The Homecoming
7. Lies
8. The Last Farewell
(The Birthday Cake,Nude’s Return)
★ 原点に帰りコンセプトアルバムに取り組んだ問題作
当時の僕には、 BreathlessやI Can See Your House from Hereがやや期待はずれ(※1)だっただけに、このLPは聴き込みました。
副題に「Mr.Oの帰還」とありますが、もちろん、世界のホームラン王の王貞治さんのことではありません(笑
そう、ルバング島で発見された小野田さん(若い子は知らないか?)の事件(?)をモチーフに、良心と信念に基づく人間の生き方、葛藤をテーマとしたコンセプトアルバムです。
しかし、今、冷静に聴き直すとやや饒舌すぎる気がします。ストーリーや心情を「語る」ことに傾注するあまり、リスナーの想像力やイマジネーションの裁量に委ねる部分が少なくて窮屈な感じがしないでもないというか...
こうして書くと何か失敗作のような印象を受けるかもしれませんが、やはりそこはCamelです。やっぱ良い作品です。商業主義がロックを圧倒してしまった不毛の80年代(※2)に堂々たる作品(音といい深い思想性といい)を発表した彼等に拍手、 惜しみない賞賛を贈りたい。
Tell Me No Lies Has Peace Arrived~悲壮なMr.Oの叫びはCamel自身の声でもあった(と思います)。
なお、このLPは盤厚が1.5倍ある高音質重量レコードとして発売されました。ライナーノートには、石田善之氏(※3)の音質解説までありました。
大好きなNimrodelを思わせる効果音に思わずニヤリ。

Andrew Latimer (g), Duncan Mackay (key), Jan Schelhaas (p), Colin Bass(b), Andy Ward (dr)
guest: Chris Green (cell), Gasper Lawal (per), Herbie Flowers (tuba)

※1 やや期待はずれ
とりわけファンの多い2作品なのに、我ながらなんと挑戦的な表現か。まあ、当時は若かったのでプログレ至上主義というか、大作指向だったもので...あくまで「当時」の印象ですので、お許しください。
※2 不毛の80年代 
70年代プログレ最後の期待の星、U.K.のDanger Moneyが1979年の作。プログレッシブロックファンにとって80年代はさながらパーティーの翌朝の白けた雰囲気に似たものであった。
多くのメジャーなプログレバンドが解散ないしは活動停止となり、既に70年代後半あたりからメインシーンはパンクとニューウェイブ。とりわけ、ポリスとフォリナーのメンバーを見て、プログレファンは皆「そりゃあないよ!」と思ったものでした。
Nudeと言えば、こういう音に飢えていたので、当時なら最低でも★9はつけていたと思います。
※3 石田善之氏
著名なオーディオ評論家。氏の録音した蒸気機関車のLPは、しばしば オーディオ雑誌で機器のテスト用に使われていた。
The Single Factor (1982年作)
個人的評価
★★★★★★☆☆☆☆
(思い出深いです)

Side1
1. No Easy Answer
2. You Are the One
3. Heroes
4. Selva
5. Lullabye

Side2
1. Sasquatch
2. Manic 
3. Camelogue
4. Today’s Goodbye
5. A Heart’s Desire
6. End Peace
★ 魅力的なボーカル曲を中心とした佳作
どの曲もシングルヒットしそうな、憂いのあるボーカル主体のポップな小曲集。プログレ色は薄いのですが、個々の曲はいずれも丁寧に造りこんであります。大好きな曲が多いアルバムです。
ただ、アルバム全体として見た時に、ちょっと散漫というか統一感に欠けるのが残念に思っていました。
ライナーノートには、Andy Ward does not appear on this album following a serious injury to his handと記載され、あくまで怪我による一時的な不参加として発表されましたが、実際は躁鬱病による自殺未遂によるものだった。私達が真実(※1)を知ったのは、ずいぶんと後のことでしたが...
以後Andrew Latimer以外は流動的となりました。ライナーノートの表現を借りれば、Andrew Latimer and his friendsということでしょうか。
1982年と言えばAsia(※2)の1stが出た年。Camelのこのアルバムは残念ながら私の友人の間では全く話題にされませんでした。実際のセールスはどうだったのだろう?
ところで、私ごとですが後年の結婚式の際には、このアルバムの1曲目No Easy Answer(※3)を使いました。

Andrew Latimer (g) and...
Anthony Phillips (g,key), Chris Rainbow (vo), Dave Mattacks (dr), David Paton (b), Duncan Mackay (key), Francis Monkman (key), Graham Jarvis (dr), Haydn Bendall (key), Peter Bardens (key), Simon Phillips (dr), Jack Emblow (accordion) 

※1 真実
アルバムの中の一曲Manicの歌詞は躁鬱病とアルコホリックに苦しむWardを歌ったものです。2003年に出されたDVD作品Curriculum Vitaeで、この時のいきさつについてをAndrew LatimerとAndy Wardが語っています。
※2 Asia
元King CrimsonのJohn Wetton、元EL&PのCarl Palmer、元YesのSteve HoweとGeoffrey Downesによるスーパーグループ。コアなプログレファンからは、3分間プログレと揶揄されたが、空前の大ヒットを連発した。ちなみに私は好印象を持ちました。1stは今でも時々聴きます。Wetton好きですから。
※3 No Easy Answer 
結婚ってホントにNo Easy Answerでした。お粗末。
Stationary Traveller (1984年作)
個人的評価
★★★★★★★★☆☆
(もっと話題にしてほしい)

Side1
1. Pressure Points
2. Refugee
3. Vopos
4. Cloak and Dagger Man
5. Stationary Traveller

Side2
1. West Berlin
2. Fingertips
3. Missing
4. After Words
5. Long Goodbyes

※2004年8月、キャメル・プロダクションか ら本来メンバーが意図した構成でデジタル・リマスターされたCDが発売されました
★ 初期Camel最後のスタジオ録音盤
東西冷戦下のベルリンをイメージしたジャケット・デザインが象徴的、良くまとまった好作品(※1)です。
1曲目はPressure Points。イントロの重低音で迫るシンセは、タイトルどおり、巨大な圧力を、そしてそれに押しつぶされる人間の不安を象徴しているようにも思えます。
そして、Side1の最後を飾るのが、名曲StationaryTravellerです。
「泣きのギター」と一言でかたずけてしまうには、あまりにも悲壮で、その旋律と弦の唸りは、Camelその人であるギタリストAndrew Latimerの嗚咽、慟哭に思えてなりません。
Latimerと共に最後のオリジナルメンバーであったAndyWardも、ドラッグやアルコールホリックに起因する自殺未遂で、既に前作The Sigle FactorからCamelを離脱。
インスタントな音楽が氾濫した80年代、己の音楽的な信念に正直で、けっしてレコード会社との妥協という道を選べなかったLatimerが、たった一人で苦悩する姿が痛ましい 。
その後、マネージャーとの長年にわたる法定闘争に忙殺され、Camelは活動停止に至った。おそらくはLatimerが一番辛かった時期を象徴するアルバムだろう。それにも関わらず、実にCamelらしい作品を送り出してくれた。真摯な音楽への思いが結実したこのアルバムは、苦悩に満ちながらも、否、苦悩に満ちているからこそ、今なお私の心の支えとなっています。
話はかわるけど、Kayak(※2)の再結成アルバムのClose to the Fire(2000年)を聴いた時、まっ先に「キーボードの音色とリフがStationary Travellerだ!」と思いました。当たり前だよね。同じTon Scherpenzeel(※3)が弾いてるのだから。Kayakファンの人ご免なさい。始めて買ったKayakのアルバムだったもので、私個人の時系列的には、こうなってしまいました。 MelのSaxも素敵。このアルバムに限らず、Camelのメンバー、ゲスト陣って結構豪華

Andrew Latimer (g)
Ton Scherpenzeel (key), Haydn Bendall (key), David Paton (b), Paul Burgess (dr), Chris Rainbow (vo), Mel Collins (sax)

※1 好作品
コアなプログレ・フリークでさえ、話題にしてくれることがない作品だけど、これは正統的な(?)プログレ・アルバムと思う。もしも、10年前の1974年にこのアルバムが出ていれば、違った評価がされていたのではないかと思っています。この布陣で、もう何作かアルバムを作ってもらいたかったと思っています。
※2 Kayak
オランダのプログレバンド。結構ポップです。プログレバンドでないとの説もあるが、アルバムにはここそこにプログレ的おかずがちりばめられている。
※3 Ton Scherpenzeel
どう発音するのが正しいのだろうか。トン・スケルペンツェルとなっているものもあれば、トン・シャーペンジールと書いてあるものもある。→正しくはスケルペンツェルらしいのですが、Latimerはこの 発音が苦手で、英語式にシャーペンジールと呼んでいるそうです。←情報提供やよい様(2003.12.13 Camel Fan Club Japan掲示板にて)
Pressure Points, Live In Concert (1984年作)
個人的評価
LP
★★★★★★☆☆☆☆
DVD
★★★★★★★★☆☆

(DVD買いました) 
Side1
1. Pressure Points
2. Drafted
3. Captured
4. Lies
5. Sasquatch

Side2
1. West Berlin
2. Fingertips
3. Wait
4. Rhayader
5. Rhayader Goes to Town
★全盛期の雰囲気をちょっぴり味わえる(?)白熱のライブ
1曲目はPressure Points、この曲、スタジオ盤では、イントロから重低音が襲ってくるけど、私のレコード(輸入盤)ではフニャフニャのシンセ音で、いきなり腰砕け状態になります。それ以外は、どの曲も素晴らしいのだけど。Chris Rainbowの声(※1)も伸びやかで良いですね。
一番のもりあがりは、ラストのThe Snow Gooseからの定番RhayaderとRhayader Goes to Townでしょう。
最初の主役はゲスト参加のPeter Bardens。やっぱこの時期の曲はPeterのオルガンじゃなくちゃダメと実感させられます。と思っているうちに、Mel ColinsがSax吹きまくり独壇場状態。そして最後はAndrewのギターへと続く。メデタシメデタシと思ってたら、Camelは長い冬眠(※ 2)に入ってしまうのでした。
2003年8月キャメルプロダクションから、以前LDで発売 されていた映像の方がDVD化されて再発されました。若干LPとは収録曲(※3)が異なっています。
Stationary TravellerやLady Fantasyが追加されており、あきらかにDVDの方がお薦めです。Peter BardensでのLady Fantasyはやっぱ最高(※4)です。オルガンは下品なくらいに弾きたおさないとダメですね。
クールなTonさん、ダンディーなMelさんも見逃せない! 

Andrew Latimer (g)
Ton Scherpenzeel (key), Richie Close (key), Collin Bass (b), Paul Burgess (dr), Chris Rainbow (vo)
guest: Mel Collins (sax), Peter Bardens (key)

※1 Chris Rainbowの声
Tonちゃんが惚れ込むのもわかる。同年にTon ScherpenzeelとChris Rainbowでアルバム(Heart of the Universe)を出しています。
CamelではOn the Road 1982もお勧めです。
※2 冬眠
墓場に入ったものと思っていた。以後、音楽への意欲自体が衰え、めっきりCDを買う枚数が減ってしまいました。
※3 収録曲が異なっています
1. Pressure Points, 2. Refugee, 3. Vopos, 4. Stationary Traveller, 5. West Berlin, 6. Fingertips, 7. Sasquatch, 8. Wait, 9. Cloak and Dagger Man, 10. Long Goobyes,  11. Rhayader, 12. Rhayader  Goes to Town, 13. Lady Fantasy
そうこうしてたら、2007年1月に、更に未収録曲を追加の完全版ライブDVDがTotal Pressureのタイトルで発売されました。
イメージ映像は全てカットされライブ演奏の映像のみとなっています。
TRACK LISTING: 1. Pressure Points, 2. Drafted, 3. Captured, 4. Lies, 5. Refugee, 6. Vopos, 7. Stationary Traveller, 8. West Berlin, 9. Fingertips, 10. Sasquatch, 11. Wait, 12. Cloak and Dagger Man, 13. Long Goodbyes, 14. Rhayader, 15. Rhayader Goes to Town, 16.Lady Fantasy
ADDED PRESSURE: 1. La Princesse Perdue, 2. Unevensong, 3. Never Let Go, 4. Hymn to Her
BONUS MATERIAL: A brief interview with Andrew Latimer for Mirror Image,  originally aired in the UK in 1985.
※4 Pete BardensでのLady Fantasyはやっぱ最高
ただ、Wardと比べてあまりにあっさりした、イントロでのPaul Burgessのドラミングにちょっとガッカリしました。
 Dust and Dreams (1992年作)
★ 新生Camel始動
夢か幻か。二度と出ないと思っていたキャメルの新譜が発売されたのです。いい年して私狂喜乱舞してしまいました。
だけど、実際に聴いてみて正直最初はあまり良い印象を持てなかった(※1)。
まず、ギターとシンセの音色がちと気に入らなかった。ギターはもう少し、もうちょっとだけエッジのたったソリッドな音(※2)が欲しいと思った。分厚いけどダラーンとコードを垂れ流すシンセはポンプロック風で馴染めなかった。泣きのギターを本当の意味で引き立ててくれる激しいキーボードが欲しい。そんな気がしました。
終盤のHopeless Angerのダイナミズムにはしびれる。そのぶん中盤がやや平板な感じがして残念。Mother Roadぐらいのくだけた曲がもう1曲あれば良いのだけど、なんて、当時は思いました。ストーリーを考えると無理な話ですよね。(スタインベックの怒りの葡萄(※3)がモチーフです。)
最近また聴き直しているのだけど、ち密な音づくりと全体構成の巧さには敬服するしかないです。だけど、 Dust and Dreamsと言えば「この曲」と言えるような、1曲単位でまとまった完成度を持った楽曲が欲しい気もします。あと、蛇足ながら、曲によって音質にばらつきがあるのがチョット残念です。
7年も待ったのだから、ちょっとくらい文句言わせてくれ。
でも評価は決して低くはない★8つです ! 

Andrew Latimer (g)
Ton Scherpenzeel (key), Don Harris (key), Colin Bass (b), Paul Burgess (dr), Christopher Bock (dr), Neil Panton (oboe), Kim Venaas (hamonica), John Burton (french horn), David Paton (vo), Mae McKenna (vo)

※1 良い印象を持てなかった
当時の僕は精神的に余裕がなくて、大作に立ち向かう気力がなかった
※2 ソリッドな音
しっかりと弦自体の音がするかどうか、エフェクターをかけ過ぎて音の芯が死んでいないか、そのへんが私のギターの評価基準のひとつです。例えば、フランスのプログレバンドTai Phongの各アルバムで聴けるギターの音などは、あまり好きではありません(アルバム自体は好きですけどね)
※3 怒りの葡萄
1939年に発表されたJ・スタインベックの小説。安住の地を求め旅に出る農民一家の苦難の物語。 1940年にはJ・フォード監督によって映画化された。J・フォード監督はアイルランド系であり、母国における飢饉の状況とそっくりなこの小説にひかれ映画化したそうである。こうしてみると、CamelのDust and Dreamsは、次作Harbour of Tearsと対をなす作品と考えられなくも無いかなと思っています。
個人的評価
★★★★★★★★☆☆
(待ちくたびれたよ) 

1. Dust Bowl
2. Go West
3. Dusted Out
4. Mother Road
5. Needles
6. Rose of Sharon
7. Milk ‘n Honey
8. End of the Line
9. Storm Clouds
10. Cotton Camp
11. Broken Banks
12. Sheet Rain
13. Whispers
14. Little Rivers and Little Rose
15. Hopeless Anger
16. Whispers in the Rain
Harbour of Tears (1996年作)
★ The Snow Gooseを凌駕するコンセプトアルバム
良いです良いです。本当に良いです
Andrewの祖母の家族(※1)の歴史をたどるという極めて個人的な題材なのですが、社会に翻弄される人間の悲劇、苦悩、家族愛、故里への郷愁が心に響く素晴らしい作品(※2)に仕上がっています。
個々の楽曲の完成度が高く瑞々しい。どの曲も胸をうち心に残ります。それでいて、一つのストーリーを踏み外すことなく全体として完成されたコンセプトアルバムとなっています。
私がDust and Dreamsで感じた不満は払拭されました。
Irish AirにHarbour of Tearsに涙しない人はいない。そう断言できます。(Coming of Ageの最後の方がもう少しすっきりしていれば★10個なのだが。)
キャメルここに完全復活(※3)と宣言します。
90年代のプログレシーンを代表する1枚と断言!

Andrew Latimer (g)
Mickey Simmonds (key), Colin Bass (b), David Paton (b), John Xepoleas (dr), Mae McKenna (vo), Neil Panton (oboe), John Burton (french horn), Barry Phillips (cello),  Karen Bentley (vn), Anita Stoneham (vn)

※1 Andrewの祖母の家族
英国の植民地と化したアイルランドでは、農民は次々と土地を追われ、1840〜1920年までの間で43%の人が海外移住を余儀無くさせられたという。Andrew Latimarの祖母の家族もまた、そうした犠牲者であった。
※2  素晴らしい作品
このアルバムのテーマは、歴史ドラマとしての「アイルランドの悲劇」ではなく、Andyが父の死に直面し改めておもいを強くしたであろう「家族の絆」であると考えます。ェんディングで延々と続く波のSE音からは、何よりLatimer自身が作品の創作を通じて徐々に癒さていった過程が伺われる。
※3 完全復活
どうも私は少数派みたい。世間ではDust and Dreamsの方が評価が高いようですね。
それでいくと前作で既に完全復活していたということになる のかな。
個人的評価
★★★★★★★★★☆
(いいよ~泣けます) 

1. Irish Air
2. Irish Air
(Instrumental Reprise)
3. Harbour of Tears
4. Cobh
5. Send Home the Slates
6. Under the Moon
7. Watching the Bobbins
8. Generations
9. Eyes of Ireland
10. Running from Paradise
11. End of the Day
12. Coming of Age 
13. The Hour Candle
(A Song for My Father)
Coming of Age (1998年作)
★ 音楽に対する真摯な姿勢が胸を打つ感動のライブ
第1部は例によって、初期の曲中心のセレクトです。
1曲目はLunar Sea、みんな一生懸命演奏していてなんか微笑ましくなってきます。Hymn to HerやSpirit of the WaterのColinのボーカル、本当に心に染みます。極端な話、今のCamelはドラムとキーボードは誰がやっても、そんなにバンドとしての雰囲気はかわらないと思うのだけど、Colinだけは、もう絶対に外せないですね。存在感あります。繊細、リリカル、それでいて芯の強さも感じさせる。歴代のCamelのボーカリストの中で一番好きです。
さて、肝心のAndrewですけど何と申しましょうか、飛騨の職人さんが1音1音丁寧に音出しました、とでも表現すれば良いのでしょうか。特にIceには鳥肌(※1)がたちます。それぐらいスゴイです。
けして、テクニカルな奏者ではないと思うのですが、とにかく心に響く音を出してくれます。そう言った意味では、本当に比類の無いギタリストと思います。
あと印象に残ったのがBeached。最後がばっちり決まるところが爽快です。
2部の前半はDust and Dreams、後半がHarbour of Tearsからとなっています。
Dust and Dreamsは話がヘヴィーで好きではないと書いたけど、ライブでは主要な曲のみということもあって、肩の力が抜けた感じで楽しめます。 
そして終盤のComing of AgeからThe Hour Candleへと続く部分は圧巻。もう感動のフィナーレです。
とにかくAndyの一音一音の指使い、Colinが心をこめて歌う姿に感動です。
もちろん、プロのコンサートなのだから当然と言えば当然なのだけど、全員が一生懸命なことが、ひしひしと伝わってきて心を打たれます。
再結成後の音に今一つ馴染めない方にもお薦めです。きっと、Dust and DreamsやHarbour of Tearsを聴き直したくなること請け合いです。
「Camelのファンでいて良かった。」としみじみ思うことのできる至福の2時間20分です。
おまけ(※2)もあるでよ。

Andrew Latimer (g)
Foss Patterson (key), Colin Bass (b), Dave Stewart (dr)

※1 Iceには鳥肌
Iceは好きじゃないと言った舌の根が乾かぬうちに、 Ice絶賛とは何と言う節操の無さか! !
まあ、そこがCamel Magicなんですよ(意味不明)。
※2 おまけ
ボーナスとして、自宅スタジオ(?)でのリハーサル風景が収録されています。
日本公演の時のおみやげなのか「一品料理」とか書いた幟旗が飾ってあったりします。
個人的評価
★★★★★★★★★★
(Perfect !)
1. Lunar Sea
2. Hymn to Her
3. Rhayader
4. Rhayader Goes to Town
5. Drafted
6. Docks
7. Beached
8. Spirit of the Water
9. Ice
10. Sasquatch
11. Mother Road
12. Needles
13. Rose Of Sharon
14. Irish Air
15. Harbour of Tears
16. Cobh
17. Send Home the Slates
18. Under the Moon
19. Watching the Bobbins
20. Eyes of Ireland
21. Running from Pradise
22. End of the Day
23. Coming of Age
24. The Hour Candle
25. Irish Air
Rajaz (1999年作)
★ ギタリストとしての魅力を存分に発揮した会心の作
「別れ」(※1)をテーマとしているが、コンセプトアルバムではないとのこと。 
これは油断していた。こんなアルバムづくりがあったんだ。Camelじゃなくて生身のAndrewのギターアルバム。ひとりのギタリストAndrew Latimerここにあり、てな1枚 
職場の後輩のギターキッズは、いたくこのアルバムを気に入ってくれた。テクニカルじゃないしボーカルも多いので、嫌われるとばかり思ってたので意外だった。
僕は「うんうん、ダスト以来のAndrew節だな」と思ったのだけど、彼には新鮮だったみたい。
Camelにこだわり続けてきたAndrew Latimerだが、呪縛を解かれ、のびのびと好きなギターを好きなだけ好きなように楽しみながら弾いている。(※2) 
展開が平板で食いたりない曲もあるが気になるほどでもない。全体としては大満足。特に、1曲目のThree Wishes、終盤のSahara、Lawrence(※3)が秀逸だ。 
前々作のDust..以来のTon Scherpenzeelの参加(※4)もあって実にすばらしい作品に仕上がっています。

Andrew Latimer (g) 
Ton Scherpenzeel (key), Colin Bass (b), Dave Stewart (dr), Barry Phillips (cello)

※1 別れ 
Good ByではなくFarewell。ライナーノートによれば、あくまで再会のかすかな希望が交錯するFarewellなのだそうだ。 
※2 楽しみながら弾いている 
5曲目のShoutだけは少し趣が異なり「楽しく」とはいかないようです。心のバランスを欠いた友人へのメッセージらしい。やっぱりWardのことなんでしょうね。
※3 Lawrence 
アラビアのロレンスことThomas Edward Lawrence (1888-1935) に捧げられた曲だそうです。
※4 Ton Scherpenzeelの参加 
TonがインターネットやCD-Rを使って遠隔参加している。あまり目立って無くてがっかりとの意見もあるが、ここぞという所ではTon節全開でしっかりサポートしてくれてると思うのだけど? それに今回のブルージーな渋いギターには、これが正解。むしろ、そのへんの使い分けがしっかりできるところが流石と思います。
個人的評価 
★★★★★★★★☆☆ 
(なかなか味わい深い)

1. Three Wishes 
2. Lost and Found 
3. The Final Encore 
4. Rajaz 
5. Shout 
6. Straight to My Heart 
7. Sahara 
8. Lawrence
A Nod and a Wink (2002年作)
★ 結成30周年を記念するAndrew渾身の力作
ポップな曲あり、ギターのインス トあり、泣かせる曲ありと盛り沢山だ。
一風変わった展開を見せる曲A Nod and a Winkで幕を開ける(※1)。6 分50秒過ぎ、9分過ぎあたりでの2度の切り返しがカッコいい!
2曲目はSimple Pleasures ちょっと暗いけど、歌ものとしてよくまとまっている。アルバムSingle Factorの頃を思わせる作品で、好きなタイプの曲です。
4曲目のFox Hillはポップな感じの面白い曲。2002年版Down on the Farm?
インスト部分のできが良くて格好いいのだが、どうもコミカルなボーカル部分としっくり来ない気がする。いっそのこと、インスト部分を取り除いたらアルバム全体の中での良いアクセントとなったと思うのだけど。
6曲目のSquigely Fairは、Andyのギターが奏でるいかにもCamelといった感じのメロディーと印象的なリフが心地よい。これにキーボードが激しく絡み付けば言うことはないのだけど。そのぶんフルートが活躍(※2)するが、個人的にはやや欲求不満が残る。
最終曲のFor Todayは9.11をテーマにした曲。テーマがテーマだけに、もの悲しい。アルバム全体の印象までを寂しく暗い色に染めてしまっている。
日本だけのボーナストラックAfter All These Yearsはギターが泣きまくるとても良い曲なんだけど、30周年記念なんだから、もっと明るい曲であって欲しかった。とは言え、Peterへの思いを込めた部分もあるのだろうからファンとしては静かに受け止めたい。
これまでの作品とは、やや趣きを異にするけど、どの曲も極めて高い質感を感じさせる素晴らしいアルバムです。ただColinの声があまり聴けないのがちょっと残念 !(※3)

Andrew Latimer (g)
Guy LeBlanc (key), Colin Bass (b), Denis Clement (dr), Terry Carleton (dr), JR Johnston (vo)

※1 幕を開ける
だけど、どうして蒸気機関車のSEが最初と最後に入っているの?誰か教えて。人生を旅に例えたのか?
駱駝の機関車さん、ちょっとpeterのいる駅に立ち寄ったんだと思います。
※2 フルートが活躍
この曲に限らずフルートが全編大活躍して、前半はちょっと枯れた印象で、なんかJethro Tullを思い出してしまいました。
しかし、Squigely Fairにはオルガンを絡めてほしかった。ついでに言えば、もしも、ドラムがAndy Wardだったら、なんて思ってしまいました。スマンDenis。だけど、このアルバムすこしばかりカンタベリーの匂いもするようで、なおさらWardのことを思い出してしまいました。もちろん、身勝手で迷惑な古株のファン心理であることは十分に自覚しています。
※3 ちょっと残念 !
ネットで知り合った方と「もっとColinさんのボー カルが多かったらいいのにねぇ!」と意見一致・意気投合しました。でも考えるに、Latimer先生歌いたかったんだと思います。「おいっ、Peter、聴こえるか?」ってね。
個人的評価
★★★★★★★★☆☆
(わびさびの世界です)

1. A Nod and a Wink
2. Simple Pleasures
3. A Boy’s Life
4. Fox Hill
5. The Miller’s Tale
6. Squigely Fair
7. For Today
(bonus track)
After All These Years
Curriculum Vitae (2003年作)
★ Camel 30年の歩みを総決算
Andrew Latimerの他、元メンバーを中心としたインタビューにライブ映像を交えて、Camelの30年の歴史を順に振り返るという企画ものDVDです。
Brewに端を発するキャメル結成時の状況に始まり、各アルバムのコンセプトや当時のエピソード(※1)、メンバーチェンジの経緯などが、Andrew Latimer, Andy Ward, Doug Ferguson, Peter Bardens (※2)の4人のオリジナル・メンバー、更にColin Bassによって語られます。
いろいろとライブやBBCの画も出てくるのですが、いずれも短い映像(※3)でして、その点が少し(かなり?)残念です。あくまでインタビューものとして見るのが正しい鑑賞法でしょう。
あえてライブ映像についてコメントすると、初期のものでは、とにかくAndy Wardのドラミングがかっこいいですね。ほんと惚れ惚れします。(※4)
あと、Metrognomeのライブ映像でのRichard Sinclairのボーカルが爽やか。MelのSaxも最高ですね。AndrewとPeterのここでの演奏がイマイチ冴えないのと好対称、と言うか完全に食われてますね。
アルバムNudeやThe Single Factorの頃の話に差しかかると、例のAndy Ward脱退の経緯がLatimer, Wardの双方から語られており、インタビューではここが一番のクライマックス(※5)のように感じました。
終盤にFox Hillのリハ映像があるのですが、なんかGuy LeBlancって思ってたよりお茶目な人みたい。リハなのにカメラ目線でのりのりで演奏してたりします。
ボーナス映像として、Andrew Latimer, Andy Ward, Doug Fergusonが3人揃って大爆笑で思い出話しをするというコーナーがあるのですが、やはり、私のヒアリング力では何を話しているのかさっぱり分かりませんでした。何とこの3人でアルバムを出すとのこと。練習風景の映像もあるのですが、Dougのベース(※6)がどうにも心もとない様子ですがアルバムの発表自体についてはファンには楽しみな限りであります。
それから、付属のブックレットが洒落てます。歴代のメンバーのうち主要な(?)18人(※7)について、顔写真と簡単なデータ、近況などが掲載されているのですが、古いメンバーについては、現在の写真と昔の写真が並べて掲載されてるのです。見比べていると、しみじみ感じ入るものがあります。

※1 エピソード
バンド名がキャメルに決まったいきさつ、アルバム Mirageのジャケットデザインがタバコ(Camel)の箱のデザインとなった経緯、ポール・ギャリコとの争い、憧れのアビーロード・スタジオではしゃぎまわったこと等々。基本的にはofficial HPにある詳細なバンド・ヒストリーと同じようなものだと思うのですが、いかんせん私の語学力が未熟で、よーわからん!フラストレーションがたまってしまいます。
※2 Peter Bardens
病状がおもわしくなかったのか、どこか痛々しい感じがします。2002年没、合掌。なおDVDの本編の最後は、Peter Bardensへの追悼の意を込めてSpirit Of The Waterの歌詞が表示されています。
※3  短い映像 
比喩でも例えでもなく、本当に短いです
※4 惚れ惚れします
そう言えばWardはソフト・マシーンを敬愛しているという記事を見たことがあります。そうした音楽指向もあってか、若くして達者なドラマーだったようです。
一転してCity Lifeの映像でのWardの様子には痛々しいものがあります。
※5  一番のクライマックス
淡々と語るWard、言葉につまるLatimer。胸が締め付けられるインタビューです。結局、自殺未遂のあと5ヶ月もの長期にわたり入院することとなったのだそうです。
※6 Dougのベース
上手くはないがタイトな奏者と思ってたのだけど。しかし、それよりもDougさん、太り過ぎてて誰だか分からんぞ ! 現在は、不動産屋を営なんでいるとのこと。
※7; 18人
Andrew Latimer, Doug Ferguson, Andy Ward, Peter Bardens, Mel Collins, Richard Sinclair, David Sinclair, Jan Schelhaas, Colin Bass, Kit Watkins, David Paton, Chris Rainbow, Ton Scherpenzeel, Mickey Simmonds, Dave Stewart, Foss Patterson, Guy LeBlanc, Denis Clement
個人的評価
★★★★★★★★★☆
(字幕があれば10点)

<Iinterview>
Andrew Latimer
Andy Ward
Doug Ferguson
Pete Bardens
Colin Bass
<Live>
1. Arubaluba
2. Never Let Go
3. The Snow Goose
4. Friendship
5/ Rhayader Goes to Town
6. First Light
7. Metrognome
8. City Life
9. Lies
10. Stationary Traveller
11. Hopeless Anger
12. The Hour Candle
13. Drafted
14. Three Wishes
15. Fox Hill

※殆どの曲がサビだけとか短かいです
The Snow Goose (2013年作)
★ 病気療養後Camel活動再開の第1弾
骨髄移植後療養を続けていたAndy Latimerだったが、2013年に入りCamelの活動を再開することとなった。
10月のTourに先立ち制作が発表されたのが、このThe Snow Gooseの再録であった。
オリジナルに比べてメロウなアレンジとなった部分もあるが、基本構成は踏襲し、概ね忠実に再演されている。
ジャケット内側には、このアルバムが故Peter Bardensに捧げられたものであることが記載されている。

Andrew Latimer (g)
Guy LeBlanc (key), Colin Bass (b), Denis Clement (dr)
1. Great Marsh
2. Rhayader
3. Rhayader Goes to Town
4. Sanctuary
5. Fritha
6. The Snow Goose
7. Friendship
8. Migration
9. Rhayader Alone
10. Flight of the Snow Goose
11. Preparation 
12. Dunkirk 
13. Epitaph
14. Fritha Alone
15. La Princesse Perdue
16. The Great Marsh